∞ 暁務報告 ∞

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暁(あかつき)によるゴッタ煮ブログ【ぎょーむ・ほーこく】。局地的に広く中途半端に深い(笑)趣味で展開してまいります。

舞台『ホテル マジェスティック』感想 その1

3月は毎年たいへん多忙な頃であり、せっかく咲きかけた桜すら見逃したまま4月となり、気がつけばお花見どころか葉桜の時季すら過ぎてしまっていることが多い。
けれど、今年の春は違う。
満開の桜を観た。それも8回もだ。
もっと多い人もいるだろう。だが比較することに意味はない。私にとっての、素晴らしい8回の花見だった--ただし、“舞台上の”という注釈が付くけれど。
それほどに、私にとって舞台『ホテル マジェスティック』という作品は、桜の印象が強かった。




初めてこの舞台を観たのは3月9日の東京マチネ公演。舞台が始まって3日目となる。
東京に10年在住していたが、東京公演の会場である新国立劇場へは行ったことがない。だから、ずいぶん立派なところで初舞台初主演の座長を務めるんだなぁと感慨深く思いつつ中へ入り、ほぅ……と小さく声をあげた。
舞台上、どんと大きくそびえた木。その枝には満開の桜。素直に、美しい!と思った。

舞台は冒頭、この桜の木の下、のんびりと写真撮影に興じる澤田教一の姿から始まる。
白シャツにズボン(パンツではない)、ズック靴(スニーカーではない)、腰には手ぬぐい(タオルではない)。いたって西洋風な顔立ち出で立ちの"中の人"こと玉木宏さんだが、のんびりとした津軽弁をつぶやきながら飛ぶ蝶を追う様子は、舞台上に現れるスクリーンに映し出された年号のとおり1950年代の朴訥とした青年風だった。
(ちなみに初日あたりは飛ぶ姿があったらしいが、私が観たときは"エア蝶"だった)
その後、妻となるサタさんの登場となる--そして朴訥な青年"風"と書いたとおり、ちゃっかり彼女を入籍させてそれを電報で知らせるという、やはり一筋縄ではいかない男らしい様子が見てとれる。また、サタさんもサタさんで、怒ってみせるものの、もともと憎からず思っていたであろうし、大らかな人柄もあって、そのまま仲良く語り合うところでいったん桜は消え、舞台タイトルのとおり、ベトナムのホテル マジェスティックへと移る。

もちろん、ベトナムのホテルや戦場(この舞台装置がまた凝っていて良かった!)等がメインであり、そこへ途中からサタさんも加わっての人間ドラマが展開されるわけだが、ラストに再び件の桜の木が現れる。
ちらちらと花びらが散る中、サタさんがいる。そして教一もいるけれど、生きている彼ではなく、ベトナムで銃撃に遭った後の思念のようなかたちで登場し、戦争というものに対する長い独白のシーンが展開される。そうして繰り出される言葉が「千年先もこの桜が、誇らしげに立っている世の中がいい」である。あの長い手、長い指を大きく広げて彼はそう言い放つ。
同じ桜の木の下だけれど、ずいぶん遠いところへ来てしまったという感がある。
とはいえ、死が二人を別つけれど、最後の最後で教一はサタさんへの感謝と愛情たっぷりの呼びかけをして舞台は幕となる。

この桜のシーンが印象に残っているのは、もちろん舞台の最初と最後の場面で使われているからでもあるけれど、どうも私の初日が9日マチネ公演だったことにも起因していると思われる。
それというのもこの日、この公演に、まさに澤田サタさんご本人がいらして観劇されていたからだ。その情報は舞台が始まる前からネット経由で知ることとなり、そういう目で演じる俳優さんたちを観ていたことも過分に含まれるかとは思う。けれど、それにしてもやはり彼らとて力が入ったのではないかとも思う。
「僕の分まで長生きしてください」から「サタさーーーん!」の叫びに至るまでを、何とも言えぬ思いで私は舞台を観終え、拍手を送った--舞台にいる人たちと、澤田サタさんご本人に。

舞台後のカーテンコール時、玉木くんからメッセージがあった。
ざっくりとだがメモを。

***
みなさま、本日はご観劇いただきましてありがとうございました。
今日で3日目になるんですが、 僕にとって初舞台(キャストやスタッフのみんなに)、お客様にささえられています。
舞台は27日まで、名古屋公演までありますので、まだね、観に来られる方も中にはいるかもしれません。なので、ぜひ、楽しみに(以下つながらなくて言葉にならず。観客は爆笑&玉木くんは照笑。別所さんがこづいていたような気がする…)。

わたくしごとではありますが(わたくしごと、という妙に古風な言い方を彼は時々する)、ロビーのほうで、ベトナムにて撮った写真、僕が撮った写真が展示してあります。なので、お帰りの際チェックしていただけると幸いです。

そしてもうひとつサプライズがありまして、本日は青森・弘前からサタさんがいらしています。
(観客いっせいに大歓声。この歓声は大きかった)
(玉木くんが花束を持って舞台を降り、客席中央通路にいるサタさんへ花束を渡し、腰を屈めて何か言葉を交わしている様子)

皆さん、大きな拍手をお願いします!
(玉木くん、舞台に戻り)
ほんとにこの作品は、サタさんと澤田教一さんがいたことで、できあがってる作品だと思います。
今を生きる人に大切なメッセージが込められている作品だと思いますので、ほんとに感謝しております。
ありがとうございます。
***

青森・弘前の桜を観たいと思い立ち、桜まつりの行われるGW時に行こうかと画策したものの今回は頓挫。でもいつか、あの舞台の教一とサタさんが観たかった桜を、観に行きたいと思っている。


#感想はまだダラダラと続きます。
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by gyohm | 2013-04-14 22:47 | 舞踊・ダンス・演劇