仁和寺境内にある御室会館で、嵐電主催の講演会があり、参加しました。
タイトルは「時代劇を彩る殺陣 時代劇がもつ日本人の心」講師は殺陣師の清家三彦さん、特別ゲストに福本清三さんという、映画『太秦ライムライト』な組合せ。
一方、こちらの目論見はこのお二人、玉木宏&石原さとみ主演の映画『幕末高校生』でも殺陣担当と出演されている。あわよくば話題がちらりと出ないかなーなんてことを思いつつ(てへ)。
とはいえ私も、もともと時代劇と刑事探偵ものばっかり見続ける家族の中で育った身(笑)。
それはもう大いに興味があります。最近の昼食時の友は再放送の『遠山の金さん』(松方弘樹版、第6シリーズ。もともとは大好きな石立鉄男さん目的で見始めました)で、福本さんもチラチラお見かけします。太秦ライムライトでも松方さんと福本さん、スターさんと斬られ役というまんまな状況で共演していて面白い。
てなわけで、行きましょう!と講演会へ向かう前に、腹ごしらえ。
嵐電・帷子ノ辻(かたびらのつじ)駅で待ち合わせ、太秦にあるインド料理のお店「ダルマサラ」へ。
玉友さん方と楽しく楽しく楽しく(笑)オシャベリしながら腹ごしらえ(ナンが大きくて美味い~♪)。
駅から出ると、正面にどーーーん!と仁和寺の門があります。
いったいいつ頃来たっけ…ここ。
学生時代、遠足で巡ったとは思いますがいっこうに思い出せない。もともと小学生の頃からお寺巡りは結構好きで、よくガイドブックとにらめっこしながら回ったものですが、それはもう遠い昔の記憶。
門を越え、振り返ってぱちり☆
会場である御室会館の2階にある大広間へ行くと、たぶん畳敷きであろう広間にカーペットが敷かれ、そのうえにパイプ椅子がずらっと並んでいます。もうすでにいっぱいの人が入り、私たちはほとんど最後列に近いあたり。そうですねぇ…200人は入っていたかと?(もっとかな)
年配の方が多いようでしたが、一方で若い人たちも。また、明らかに同業者?の役者さんぽい雰囲気の方とかもういろいろ(笑)。
最初に清家さんが出てきて経歴から殺陣師になるに至ったことなどを話されました。
もともと映画の仕事をやっていたわけでもなかったけれど、好きだったことからこの業界では遅いデビューとなり、最初はいろいろしんどい思いをされたようですが、あるときから「周りを信じる、自分を信じる」と思い至ったとたん、仕事を楽しめるようになった、とのことです。
そして福本さん登場。
マイクの電源がオンになってないまま喋っちゃうアクシデントはありましたが、以降はお二人の対談風に(福本さんがかなり早口なので、ちょっと話に追いつけない感あり(笑))。
☆ご覧のとおり、写真撮影OK!!なんです。新鮮~(笑)
さて。
殺陣は、相手(「スターさん」とお二人はおっしゃっていました。メインの俳優さんのこと)を傷つけてはいけない、という前提があるけれど、話の上では--舞台上では、当然ながら斬りつけに行く勢いで行かねばならない、とのこと。
殺陣師にとってはここまで。あと(つまり斬られた後)は、俳優さんの独壇場。斬られる側にもさまざまな斬られ方(!)がありますが、福本さんの場合、あのイナバウアーな(!)のけ反り方など個性的な見せ方があります。
福本さんは希有な存在で、たとえば石段落ちのシーンで、大ケガの恐れのある中、サポーターをせずに臨まれたとのこと。幸い、大きなケガには至らなかったけれど、福本さんのズラ(カツラ)がボロボロになったことからも、そのシーンがいかに大変なものだったかわかる、とのことでした。
☆今は時代劇が少なくなったけれど、そういう危険なシーンってそうそう見ませんよね。
昔はなんでもありだったかもしれませんが。
殺陣のセンスについて。
殺陣をやるにあたり、剣道などできるに越したことはないけれど、有段者だからといって、殺陣が必ずしも上手いというわけではないそうです。
それというのも、「武道は勝つためにあり、殺陣は負けるためにある」ということ。ここで言う殺陣とは、斬るほうよりむしろ斬られる側に主体があります。剣道のできる人はどうしても勝ちに行ったり避けたりしちゃうんだそうです。それでは殺陣は成り立たない。
ちなみに殺陣は踊りなどができる人が存外上手いんだそうです…振り付けがあるようなものだから。ただし、そうだと今度はなでるようにしか斬る格好をしなくなり、やはり殺陣としては成り立たない。
たったひとりが、20人、30人、100人までも相手に斬れるのも殺陣の醍醐味。
殺陣の『センス』があること、『間』が大事、とのことでした。
☆このあたりのお話、『幕末高校生』で玉木くん演じる勝海舟が、大人数の刺客相手に百手以上の殺陣をこなしたというエピを知るワタクシ的には、大いに萌える話でしたよ!!
あああ早く観たい観たい観たい!(おい)
時代劇の撮影も少なくなってきたとはいえ、時代劇はアメリカの西部劇のようにならない、なくなったりしない。頑なに「時代劇はこういうものだ」と言い張るのではなく、いろいろな表現があっても良いのではないか。
「お客さんが観てくれるものを作るのが良いんです」(福本さんの言葉)
……という導入から話が始まったのが、福本さん主演の映画『太秦ライムライト』です。
(まあぶっちゃけ、この講演会は映画のプロモーションを兼ねてますよね(笑))
映画『太秦ライムライト』について。
監督や撮影スタッフは外国人なので、コミュニケーションは取りづらく撮影は大変だったが、一方で撮影方法などこちら(日本)では思いも寄らない撮影の仕方に新鮮な驚きがあったとのこと。
大変多くの人たち(講演会主催の嵐電含め)が関わった作品なので、ぜひ、エンドロールを最後まで見てあげてください、とのことでした。
☆エンドロール、アメリカとか大量で見ていられないかもしれませんが、日本なら短めですみますので…とあったのにはなるほど!と思いつつ噴きました(笑)。
さてさて、いよいよ殺陣の実技。
面白かったのが、「用心棒の先生」と「スターさんの演じる侍」とでは刀の挿し方が異なる、とのこと。福本スタイル(笑)は大刀全体を正面から見えるような挿し方をするそうで、これだと後ろから撮影されてもその独特な挿し方のおかげ(せい?(笑))で福本さんと認識できるとのこと。☆言われてみれば、確かに!!(笑)
そうそう、もしも殺陣で侍をやることになった場合(笑)刀は小刀→大刀の順で挿すと良いとのことです。鍔<つば>がおへそあたりにくるようにして挿すと良いのだとか。
むむむ、いつかできるかな!!
殺陣なので、当然ながら実際に斬ってるわけではない。立ち位置によってはそれがバレてしまうので、それが見えない位置に立ってやり合う必要があるとのこと。胴を斬り抜けるときにも当然カメラの位置を考慮にいれながら殺陣を行わなければならないとのこと。
☆この間、福本さんが大刀を抜き、再び鞘へ戻すんですけど、それがまあ速いのなんの!
そしてお二人の殺陣の実技が始まると、その気迫たるや!
撮影OKなこともあり、多くの観客も気合い入れて写真を撮っていました。私もがんばってみたけど……はぅっ(^_^;
ラストに質問コーナー。
いくつかありましたが、その中で、殺陣で若い俳優さんとの共演もあるでしょうけれど、誰が上手でしたか…だったかお好みでしたか…だったか(笑)←すみません、正確でなくて(^_^;
清家さんの回答は、「立場上、答えられません(^_^;」でした。さもありなん(笑)。
***
講演会が終わり、せっかく仁和寺に来たので、映画『大奥』での舞台になったあたりを巡ってきました。
松島さまが登場したあたり。
お庭も綺麗でした。
思ったよりも人が少なめで、ゆるりと眺めることができました。